「三階で……六人か」
私のなかで答えが出る前に、悠真が答えた。
体育館があるから、そこの廊下の角で一人、ギャラリーで三人、他にもいるけど……
十人でも十分、この校舎全体に行き届く。
この倍数いたとしたら、逃げられるなんて甘い考えは、ほとんど絶望的に近い。
ていうか逃げるなんて、まず、五分間も走ってられないじゃない。
「やっぱり無理かぁ……」
悠真がボードにもたれて、白い天井をみたその時。
「もし……このメンバーのうち、誰かが退場させられることになっても……道連れなんて絶対に選ばないって……誓えるよね?」
朱美が、心配そうに問った。
……仲間を道連れになんて、私には到底できないことだけれど。
皆を巻き込んでまで、死にたくないから。



