「じゃあ行こうか、」
「うん。」
「千晴。」
名前を呼ばれたと同時に腕を掴まれた。
振り返ると、私の目に写ったのはいつもと変わらないるいの姿。
「湊川じゃん」
そう言ってへラッと笑う津軽くん。…子犬みたい。
「こいつ俺と帰るから。」
そういうともっと強く痛いくらいの握力で私の腕を掴む。るいの表情はいつにも増して無表情で何を考えているのか読み取れない。
「そんなこと松岡は言ってなかったけど?」
なお笑顔を崩さない津軽くん。
「俺が今決めた。」
その瞬間、私は何かに後ろから包まれる。
私、るいに抱きしめられてる!?
軽くパニックに陥る私。
動く度にるいの香りがする。両腕で私を抱きしめて、私と身長差がすごいるいは、私の頭の上に顔をおいている。
側で聞こえるるいの声。



