「いるよ。」
るいは一瞬驚いた顔をしたあと、その単調な声を発した。
私の淡い願いは簡単に崩れ落ちる。
「…そ、う、なんだ。」
ダメだ。泣くな泣いちゃダメ。
「うん、隣のクラスの子。」
…ってことは私と同じクラスの子ってこと?
いつもなら1ラリーで終わっちゃうのに、どうしてこんな時に話を続けてくるの。
胸が苦しくて苦しくてどうしようもなくなる。
ぐっと制服のスカートを握りしめて唇を噛みしめる。
「…へー、…っ、あ、!!私用事あったんだった!!ごめんるい先帰ってて!じゃあね!!」
私は逃げた。
「ちょ、千晴。」
るいと恋話なんてしたこと全く無かった。
でも知らなくても良かった。るいに好きな人がいるなんて。
こんなに辛いなんて思ってもみなかった。