今、私の神経は右隣りを歩くるいにすべて傾いている。
ちらっとその横顔を見上げると相変わらず凛とした顔をしている。
胸が高鳴るのはいうこともない。
「るい、」
「ん?」
ちょっと柔らかい表情をして私と目線を合わせる彼。
ああ、もう全てがずるいんだよなぁ。
ふわふわした髪とか、長い手足とか、黒目がちな目とか、笑うときの目尻のシワとか全部ずるい。
基本無表情だけど、その中にも違いはあって。機嫌がいいとか悪いとか、眠たそうとか、そんな違いがわかるのはきっと幼馴染の私だけ。
幼馴染って関係が嬉しかったり、苦しかったり。
…この関係は簡単には壊せない。
「るいって好きな人とかいないの?」
今まで聞いたことなかったから。なんとなく。
どうかいませんように。