私の気持ちなんて知らないでしょ。どうして。我慢してるのに。
距離をあけても詰めてくるの。
やめてよ苦しいよ。触れられると好きが溢れ出しそうで怖い。
「そろそろ気づけよ。」
涙を拭っていたるいの手は、両手で私の顔を包み込む。
何が起こっているのか。全部がスローモーションに見える。
「それってどう、いう、」
「分からないなら理解させてやるよ。」
るいが私の顔にもう一度触れる。
彼の香りが近づく。
綺麗な顔が近づいてきていることに気づく。
鳴りっぱなしの鼓動を抑えることなんて出来ずに、夕焼けの空でいっぱいだった視界が、るいの顔でいっぱいになって。
音も、香りも、色もなくなって。
すべての神経がるいに傾く。
触れたものは、彼から押し付けられたものは唇。
…ダメ。好き。



