「…まあ今日は引いてあげるよ。」




津軽くんはるいの目を見て、まるで野獣のように強く睨んだ。…いつもの津軽くんじゃないみたい。



「隙あればすぐ貰うからね。」


「お前なんかに渡すかよ。」




るいの私を抱きしめる腕は更に強くなっていって私はもう窒息死でもさせられてしまうのだろうか。




その前にこのドキドキで死んでしまいそうだ。




るいは私を抱きしめてもなんとも思わないのかな。





…ていうかなんで抱きしめられてるの!?



「おい、帰るぞ。」



不意に解かれた腕。彼が動く度に香る優しい彼の匂い。胸の鼓動がおさまりホッとする。


るいの表情は夕日の光に埋もれて見えなかった。