spicy◇candy

本番二日前、とある異変に気づいた。何の不備なく練習を毎日していたが、和美の様子が何だかおかしい。頭を抑えていたり、咳き込みがあったり。いつも元気でいたはずの彼女に限って、体調不良があったら大変だ。

「お前の方こそいつも無理しないで、休息とれ」


俺は、木陰で練習風景を見守るマネージャー体制の和美に声をかけた。顔色が……少し青ざめている気がする。

「小中皆勤賞の私に熱中症なんてない……わよ……あぁ……」

ドサッ。校庭の隅に佇んでいるイチョウの木が、風でサラサラと揺れる。その影の中に和美のシルエットが重なった。まさかとは思ったが、彼女は熱で倒れている。

俺は、即座に真紀達を呼び、携帯から保健室に連絡を入れた。早くしないと……大会どころではない……