家族の目線が、痛かった。朝から同じクラスの女子生徒と自分の家から登校するなんて、絶対変態目線に見られる。しかし、藤谷はそれをものともせず、朝食を済ませ、さっさと家を出ていた。


「もう、大丈夫なのか」
「大丈夫に決まってんでしょバーカ」


俺はただただ、充実感に浸っていた。いつの間にか、彼女独特の、あのウザかった印象が無くなっていた。スクバを男のように背負いながら晴れやかに笑うそいつ。


何となく登校していたはずなのに、藤谷の横顔が、急にいつもと違く見えた。まさかと思う気持ちが、真実だと気づいたのは、その日の昼の話だ。