spicy◇candy

試合中は、計算通りの動きをする事が出来た。仲間からのパスを受け取り、すぐさまエースの真紀に繋げる。ボールはどこへでもゆくが、自分の思った通りに動かせるのも、サッカーの魅力。そして、サッカーボールの良さだと。


これは、武都先輩がいつか言っていた言葉である。そのとおりだと思う。自分の考え方次第で、計算次第で、ボールというものはコントロールが簡単に出来る。


敵に屈しないようにしながら、俺は最後の最後まで走り抜けた。一つも気は抜かなかった。ボールを受け取る度、真紀や仲間に受け渡す事を考えていた。

しかし、走り抜けた果てに、ゴールにボールを収めている一人の人間が、自分である事に気づいた時。仲間からの驚きの声と敵チームの小さな悲鳴らしき声。試合終了と、俺達の勝利を告げるホイッスルが鳴り響いた。