一瞬焦った土方さんが目を逸らした後、沢庵をさして言う。
「そうですよ。食べます?
「いいのかっ?!
「箸持ってくるので待っててください
と言って箸を出しに棚へ行く。
「ハイどうぞ
「ありがとな
土方さんは沢庵が好きなのかな?
めっちゃポリポリしてる…
「あー、土方さん。
「なんだ?
「沢庵たくさん食べるのは良いんですけど、塩分の取り過ぎですよ?
「塩分の取り過ぎってなんだよ
「人間は塩を摂りすぎるとダメなんです
「そうなのか?安心しろ。沢庵に悪い奴はいない
「意味不明…
私もご飯を食べ終わり、食器を流しへ運ぶ。
「土方さんも沢庵食べ終わったら箸こっちに持ってきてくださいね
「おー
土方side
いきなり未来とか言われて初めは信じられなかったが、この家を見る限り恐らく本当だろう。
見たことないものばかりだが人様の家だし、下手にいじって壊してもアレなので大人しくしていよう。
沢庵を全て食べながら、何かをしている桜の後ろ姿を見る。
よくわからないが、なんかすごく愛おしい。
背は高いが華奢な背中は見ていて守ってあげたくなる。
沢庵を食べ終え、箸と皿を桜の所へ持っていく。
「ん。食べ終えた。
「はーい。ここに置いといて?
言われた通りに、桜が立つ横まで言って手元を覗き込む。
「こ、これはなんだ?!なんでこれから水がでるんだ?!
井戸で組まねばないはずの水がこんな管からたくさん出ている。
「これは水道って言って、ここをこうすれば水がでて、こうすれば止まります。時代の進歩ですね
桜はなにやら取っ手のようなものを上下に動かした。
「やってみていいか?
「どうぞ〜
桜がやっていたように取っ手を思いっきり上にあげた。
ブシャァーー!!!!
「うおっ!!
「あははは!!勢い強すぎですよ!
水が跳ねたくらいで叫ぶなんて自分が情けない
桜が取っ手を元に戻した。
「いつ帰れるかわからないだろうし、こちらのこと、少しずつ教えていくので。なにかなーと思ったらすぐ聞いてくださいね
いつ帰れるかわからない
その言葉に少し心が痛んだ。
かっちゃん…俺らがいなくてどうしてる?
あのお人好しのことだから慌てふためいて泣いてんだろうな…
「帰りてぇ
ボソっといつの間にか口からその言葉が出た。
桜にはそれが聞こえていたようで
「きっと帰れます。私もどうしたらいいか考えてみるので諦めないでくださいね
ああ。俺が諦めたらダメだよな
桜の言葉に奮い立たされた。
桜side
土方さん…帰りたいよね。それは他の人たちにも言えるんだろう
この人たちはこれから大活躍するらしいのにこんなとこにいたらダメだよね
でもこちらでも最低限生活していけるようにしなきゃ
そんなことを考えているうちに食器を全て洗い終わった。
時計を確認するともう10時
冷蔵庫、みんな分の食材あったかな…
冷蔵庫まで行き、中を開くと、卵とマヨネーズと納豆と牛乳…
なんも入ってない
後ろから土方さんが覗き込む
「それは?
「これは冷蔵庫っていって、食材を腐らないように保存するとこです
「冷たいな
「冷蔵庫ですからねぇ…
食材買いに行こうかな。ついでにこの人たちの生活用品をある程度揃えて…
「土方さん
「なんだ?
「私、これから買い物に行ってきますので、誠太たちのとこに戻っててください
「買い物ってどこに行くんだ?
「えーと、スーパーっていう、食材やなんやいろいろ売ってるとこです
「俺も行きたい
「へ?
「俺も外の世界見てみたい
「別に構いませんけど…刀は置いてってください。あと、他の人達には内緒ですよ? 付いて来たいって言われた日にゃ私あの烏合の衆をまとめ上げる自信ありません
「はははちげえねえ。でも刀は武士の命だぜ?
「こっちの世界では持ってたら警察に捕まりますよ? えっと、捕縛?されちゃいます。
「そうなのか?!
「はい。あとその髷と着物も目立つと思いますが…
「構わねえ
「じゃあ少しだけ変えさせてくださいね
私は土方さんの頭の上で高く結ばれたのをほどく。
「どうするんだ?
「この髪は女の子しかしないので、取り敢えず下の方に結います。
髪ゴムを取り出し、下で結び、最後に紐で縛る。
あとはー、この着物?袴だな
これじゃ目立ちすぎる
春じいの地味目な袴があったような…
あ、部屋が開かないんだった…
ど、どうしよう
Tシャツはあるけど、この髪にはあわないよな
もう、そのままで?
「まぁこれでいっか
「いいのか?
「はい。じゃあ行きましょう
私は制服だったが、着替えるのも面倒なのでそのまま
「土方さん私にちゃんとついてきてくださいよ?
あ、誠太には言っておこうかな
スマホを取り出し、電話をかける。
稽古をしていたら出ないかなとも思ったが、意外にもすぐ出た。
「もしもーし?
「もしもし?私と土方さん買い物行ってくるから
「えっ俺も行きたい!
「…なんで藤堂さんの声がするの
「いやぁ…ちょうどスマホお披露目会してたとこでさ、電話を教えるためにスピーカーに
「馬鹿野郎!極秘に誠太だけに伝えようと思ったのに何してくれてんのさ!
「ごめんってぇー
「はぁ…とりあえず皆さんはここにいてください。その格好で団体で外でたら一発で職質うけます。
「職質ってなんです?
「誠太、後は任せた。 あ、トイレとか教えてあげてね。私じゃやり方わかんないから
「ほいほーい。じゃあ気をつけて行ってこいよ?
「ありがと!いってきまー
「いってらー
ピッ。
「よし、土方さん行きますか
「今、誰と喋ってたんだ?
「ああ、これは電話と言って遠くの人と話せるんですよ。今のは誠太です。
「…すげえな
「これくらいで驚いてたら身が持ちませんよ。
私たちは玄関から出る。
土方さんは外の世界に驚き、キョロキョロしている。
何か見つけるたびにこれは何だ?と聞いてくるので、電柱やポスト、車などを説明する。
当たり前のものだから説明するのって大変だなぁ
なかなか進まないので、わたしは土方さんの手を取り引っ張る。
「これじゃあいつまでたってもスーパーにはつきません!
「わかったよ。
土方さんも手を握り返してきた。
は、恥ずかしい…
勢いで手繋いじゃったけど、ただでさえ周りの視線が集まるのにぃ…
なんとかスーパーにつくと、まず自動ドアで驚く土方さん。
「うおっ!これ、勝手に開いたぞ?!
「自動ドアっていうんです。
籠を取り、食材を見て回る。
「土方さん、何か食べたいものありますか?
「この時代の食物はわかんねえ。
とにかくうまいの頼む。
