沖田さんが、私を読んだ。

「あ、沖田さん!大丈夫ですか?服、自分で着れますか?」

と聞くと、私を無視して

「さくら、ぎゅーー」

え?

私は服を着せるために立て膝で背中に手を回してたので、沖田さんが抱きついたのは…

「きゃー!!」

脇の下に手を回して抱きしめる沖田さんは私の胸に顔をうずめてくる。

「ちょっ、沖田さん?! あのっ」

といってあわあわする。

「ん?どおしたのさくら。なんかあったのぉ?」

「うっ…」

とろーんとした可愛い目で見てくる。

これは…たまらない…

「何にもありません!」

といって沖田さんの頭を抱きしめる。

鼻血がでる… これが土方さんの言っていたやつか…

これはぁたまらん。まるで子供のような沖田さん…。

はっ!
思わずショタ風沖田さんに流されるとこだった!
沖田さんは今上半身裸なんだから服着せないと!!

「はーい総司くん。上手にお着替えできるかなー?」

気分は保母さんだ。

「ん。きる。」

ぎゃん!!!もう…この子は…

もぞもぞと服をきる沖田さん。

あーもうやだこの人…

そして服を羽織るところまでやってボケーっとしだした。

「あとは私がやるからね〜♡」

袴の紐を少し外して中に入れ、紐を結び直す。

もちろん無の極致で。

「さ、あとは寝てる間に体の中のアンパンマンがかぜきんまんを倒してくれるからおねんねしようね〜」

わけがわからない言葉を発した私は布団にもぐり大人しく眠りだした沖田さんを見て軽くキスをした。

これくらい許されるよね?
看病代だ!

ふと襖の方を見ると、外からうおおおおおという声が聞こえてきた。

こ、この声は平助っ…!

まさかあいつっ

襖にかけていき、勢いよく開ける。

するとそこには予想どうり平助がいて、雨の中はしゃいでいた。

あいつっ… ぬけがけしやがって!

チラッと後ろを確認するとスヤスヤ眠る沖田さん。

よし、しばらくは大丈夫だ。


…………

「平助覚悟ぉ!
エクスペクトパトローナァア!」

「なんのこれしき!
ルーモスルーモス!」

なんで平助が某魔法学校の呪文を知ってるかというと私が前に平助に教えたからだ。

ただし正確には教えてない。

設定上平助はなにかすごい衝撃波が出てると思い込んでるが、実際は設定上枝の先端がピカピカ光っているだけだ。

やばい笑える。

そうして私は平助にタックルをきめ、ずっと雨の中平助とはしゃいでいたのだった。

……次の日。
私と平助は仲良く風邪を引いた。

なんで?!ありえない!

私は自分の部屋で布団に入り、その横に平助は座っている。

そこに沖田さんがやってきた。

「あっ沖田さん!風邪はもう大丈夫なんですか?!ゴホッゴホッ」

「沖田さん!俺、風邪引きました!バカじゃありませんでしたよっ!ウェッホっゴホッ」

「……二人とも黙ってくれる?それと、雨の中長時間暴れまわった挙句風邪を引くのは馬鹿しかいないから。」

呆れた声でそう言って、私の頭に手ぬぐいをのせる。

「はぁぁ…今回は僕から風邪が移ったと考えるのが自然だから強く言えないけど、馬鹿にも程があるよね」

ほら、平助は自分の部屋で大人しく寝てなさい。

平助もしんどいのかうえーいと気のない返事をして出て行く。

私は沖田さんを見て、誤魔化すように今までにないくらいの微笑を浮かべる。

「そんな顔されても何も出ません」

「もー!沖田さんそんなこと言える立場じゃないんですよ?!
昨日はあーんなに可愛かったのに…」

「はぁあ?!」

「覚えてないんですか?昨日私の胸に顔をうずめてぎゅーってしてって…「わぁあああ!!!覚えてるから!改めて言わなくていい!」…はい笑」

それは彼にとってはすごく屈辱なのだろう。毒舌を披露する気力もないのか赤い顔で睨んできた。

「桜だって僕が寝たと思って接吻したじゃな…「いやぁああ!!!ごめんなさい!寝てなかったんですか?!」夢と意識の狭間にいたね」

お互いこの話はもうやめた方が良さそうだ。

「まぁ。昨日のお礼と言ってはなんだけど今日は僕が桜のこと可愛がってあげるからさ、覚悟してなよね」

うっ… ( ˘ω˘ ) スヤァ…

寝るに限るね!

「あっ!ちょっと!寝るなんてずるい!」

沖田さんの叫びは無視して狸寝入りをして1日過ごしました。