ちょっとずっこける私。
「あはは…」
男の子にバイバイする。隣の母親はぺこっと頭を下げた。
すると、突然肩をポンと叩かれた。
「うひょわ!」
び、びっくりしたぁ!
振り返ると二人組の男の人。
「な、何か…?」
すごくイケメンだ。そのすごくイケメンに耐性のない私はどもってしまう。
「君見たことない格好してるけど、どこの人?江戸ではないよね。そんな格好してる人見たことない」
背が高い方のイケメンがめんどくさそうに言ってきた。
「ええっとですねぇ? まあ確かに江戸は江戸でも今の江戸ではないといいますか…」
目がバッサバサに泳ぎながらなぞなぞみたいに答えると、背の小さい方が言ってきた。
「沖田さん!こいつ絶対怪しいっすよ!美女ほど性格悪いっていうじゃないですかっ」
おいおい小さい方褒めるのかけなすのかどっちかにしろ
それより、沖田さんって言った?
この小さい方。
てことはこの二人組み新撰組だったのかぁあ!!!
「ももももももしかして、沖田総司さんですか?!」
突然生き生きしだした私を見て沖田さんは眉間にしわを寄せ
「なんで知ってるの?そうだけど。てかうるさい。平助斬っちゃっていい?」
「さすがに斬るのはまずいですよ!」
あ、危ねえ…斬られるところだった。
でもめげない
「あのっ!私、沖田先生の大ファンなんです!!」
といって手を握りしめる。
昔おばあちゃんとテレビでドラマを
見てこんな風になりたいって思ったこともあるのだ。
キラキラ目線を送る私。
すると、沖田先生は手をばっと払いのけて
「ファンって何。ていうか触んないでくれる? ほんとうるさい。屯所連れてく。そして斬る。」
平助よろしく。と先に歩き出す。
手を握れたという事実が嬉しくて手を眺めて涙を堪えていたので、沖田先生がなんて言ったのかよく聞こえなかった。
「おいっお前っ。行くぞ!」
背の小さい方、もといおそらく藤堂平助だろう。
その人に背中を押される。
感激で動けない私は、藤堂平助の顔を見て堪えてた涙があふれた。
「藤堂平助くん…」
「うわっ!泣いてる?!もしかして俺女の子泣かした?! 俺が性格悪いって言ったからか?!ごめん!謝るから泣かないで!てか名前なんでしってんの…」
「うううっ…」
そうだった性格悪いって言われたの忘れてた。別に気にしてないけどそれより嬉し涙が止まない。
そんな私を見て藤堂平助くんは手を取って歩き出した。
「もー!仕方ないなあ」
自分が泣かしたとなれば決まりが悪いのだろう。
私の歩幅に合わせて歩いてくれた。
少し先を沖田先生が歩く。
だんだん落ち着いてきた私は、生まれて一度も男の子に手を握られたことがないことを思い出し、今更恥ずかしくなって、手を振りほどく。
「あっ。手…。ご、ごめん泣いちゃって…」
そしてふわっと微笑む。
「ありがとね!気ぃ遣ってくれて」
そしたら平助の顔がぼっと赤くなった。
あれ?もしかしてこいつ女慣れしてないのか?
私のこと美女って言ってたしな。
照れたのか。
一度も彼氏がいたことがない自分を棚に上げてニマニマする。
こいつ相手にいちいち照れることないな。
私は開き直れば強いぞ
「あれぇ?平助くん。顔赤いヨォ??」
からかうように言うと、
「う、うるさい」
と言ってそっぽを向いて歩き出した。
かわいいなおい。
「あっ平助くん待ってよ!私、持ってきた荷物あっちにおいて来ちゃったんだけど!」
なんか手が寂しいと思ったら、サックスとスクバのことをすっかり忘れていた。
「なっ!なら早くいえ!」
平助くんは戻って来てくれた。
二人でさっきの場所に戻り、お金をブレザーのポッケにいれ、サックスをケースにしまい、スクバはリュックみたいに背負う。
「一緒にきてくれてありがとう!
さ、行こっか。」
平助くんに言うと、無言でサックスを私から奪う。
持ってくれるのかな…
私と同じくらいの背なのに頑張る男の子だなぁ
「もしかしてそれ、平助くんのさりげない優しさ?」
というと、すごい勢いで
「べ!別にそう言うんじゃない!
この見たことない楽器もしかしたら武器かもしれないしな!ああ預かっとくだけだ!!」
と言った。 むふふ。素直じゃないなあ
「はいはい」
「それより!戻ったせいでだいぶ遅れてしまった!門限破ると土方さんに怒られるっ」
「出ました。鬼の副長」
「知ってるのか?」
「沖田先生もだけど、土方さんのファンでもありますから」
「ファンってなんだよ」
「尊敬してるってこと」
「…! 俺もだ!」
声が弾んだので平助くんを見るとすごくニコニコしている。
自分の上司を褒められて嬉しいんだろう。
可愛い奴め。
平助くんが走り出したので私も走る。
サックス重たいはずなのに、力持ちだなぁ。
そんなことを思ってるうちにどうやら屯所に着いたようだ。
平助が
「…はぁはぁ。危なかった。間に合った。」
と、息を切らしている。
「お前、なんでそんな平然としてるんだよっ」
そう。平助くんに反して私の息は切れていない。
ブラバン部の肺活量なめんなよ
「だって、平助くんが私の荷物持ってくれたんだもーん♡」
ぐーにした手を顔の前に持って行ってかわいこぶる。
現代に残した友、さっちゃんがいうには男はこういうのに弱いらしい。
キャラじゃないしぶりっ子は苦手な私は、ウゲェって言っておいたけど、こんなとこで役に立つとは。
平助くんは、なんかどぎまぎしている。
すると、奥から沖田先生が出てきた。
「ちょっと平助!遅いんだけど!
僕すっごい待ったんだけど!」
「あ、すみませんっ」
「お、沖田先生!私はここにいます!」
「うわっ何さ先生って。弟子にした覚えないし、やめて。」
「沖田先生は私の永遠の師匠です」
「…はぁ。とりあえず付いてきて。」
「はいっ!」
平助くんからサックスを受け取り、薄暗い廊下を歩いていく。
あああああ!新撰組の聖地!しかも現役の!やばい写メりたい!iPhone充電あったかな…
「ついたよ」
「えっ?」
どんっ
突然止まった沖田先生に、周りをキョロキョロしてた私はぶつかってしまった。
「君ねぇ…」
うっこれはイライラしていらっしゃるな?
本当は沖田先生の背中!いただきました!ありがとうございます!と言いたいとこだが、黙ってたほうが良さそうだ。
「すみませんっ…」
「…はぁあああ」
…ずいぶんと長いため息で。
どうでしょう。
ブラバンやってみませんか?
沖田さんはだるそうに襖をあける。
「土方サーーン。曲者連れてきましたァ。」
「総司っ!あける前は声をかけろと…って曲者?!」
沖田先生が目で入れと合図してきたので、部屋に入る。
何人か人がいた。多分幹部たちだろう。
ていうかやばい。沖田先生とアイコンタクト……♡
「女じゃないか」
「ずいぶんと変な格好をしているな」
ひそひそ声が聞こえたので、はっと我に帰り、土方さんに挨拶する。
「こんばんは!土方さんですか?!うわぁあ感激です!嬉しいです!握手してくださいっ!」
いきなり握手はまずかったのか、土方さんは刀を抜く。
「ちょっ土方さんっいくらなんでもっ」
後からやってきた平助くんがこの状況を見て言う
が、それを無視して土方さんは続ける
「お前…入ってきた瞬間女だから容赦しようと思っていたが…ものすごくずうずうしいな
どこのもんだ?間者か?」
低いバリトンボイスぅう!
でも今の私は殺されそうな女の子。そんなことでウキウキすることもできずに言葉につまる。
「…なぜ答えねぇ。斬られたいか」
このままでは斬られる。
ここは真面目に行こう。
「…初見での無礼をお許しください。尊敬する土方さんに会えた喜びで自分を失ってたもので。あと、私は間者ではありません。なぜなら死にたくないからです」
「…どういうことだ」
「あなた方がいう間者って長州の方のことですよね?倒幕派の。そんなあなた方の敵は、刀をつきつけられて死ぬ覚悟もなく命乞いをする者を間者なんぞにつかうでしょうか?」
「…死ぬ覚悟はねえのか。」
「あいにく、生きる覚悟しかもちあわせてません。」
ここまでいうと、土方さんは少し考えた後、刀をしまい言った。
「確かにこんなやつ。斬る価値もねえな。」
「ありがとうございます。」
頭を深く下げる。
「あはは…」
男の子にバイバイする。隣の母親はぺこっと頭を下げた。
すると、突然肩をポンと叩かれた。
「うひょわ!」
び、びっくりしたぁ!
振り返ると二人組の男の人。
「な、何か…?」
すごくイケメンだ。そのすごくイケメンに耐性のない私はどもってしまう。
「君見たことない格好してるけど、どこの人?江戸ではないよね。そんな格好してる人見たことない」
背が高い方のイケメンがめんどくさそうに言ってきた。
「ええっとですねぇ? まあ確かに江戸は江戸でも今の江戸ではないといいますか…」
目がバッサバサに泳ぎながらなぞなぞみたいに答えると、背の小さい方が言ってきた。
「沖田さん!こいつ絶対怪しいっすよ!美女ほど性格悪いっていうじゃないですかっ」
おいおい小さい方褒めるのかけなすのかどっちかにしろ
それより、沖田さんって言った?
この小さい方。
てことはこの二人組み新撰組だったのかぁあ!!!
「ももももももしかして、沖田総司さんですか?!」
突然生き生きしだした私を見て沖田さんは眉間にしわを寄せ
「なんで知ってるの?そうだけど。てかうるさい。平助斬っちゃっていい?」
「さすがに斬るのはまずいですよ!」
あ、危ねえ…斬られるところだった。
でもめげない
「あのっ!私、沖田先生の大ファンなんです!!」
といって手を握りしめる。
昔おばあちゃんとテレビでドラマを
見てこんな風になりたいって思ったこともあるのだ。
キラキラ目線を送る私。
すると、沖田先生は手をばっと払いのけて
「ファンって何。ていうか触んないでくれる? ほんとうるさい。屯所連れてく。そして斬る。」
平助よろしく。と先に歩き出す。
手を握れたという事実が嬉しくて手を眺めて涙を堪えていたので、沖田先生がなんて言ったのかよく聞こえなかった。
「おいっお前っ。行くぞ!」
背の小さい方、もといおそらく藤堂平助だろう。
その人に背中を押される。
感激で動けない私は、藤堂平助の顔を見て堪えてた涙があふれた。
「藤堂平助くん…」
「うわっ!泣いてる?!もしかして俺女の子泣かした?! 俺が性格悪いって言ったからか?!ごめん!謝るから泣かないで!てか名前なんでしってんの…」
「うううっ…」
そうだった性格悪いって言われたの忘れてた。別に気にしてないけどそれより嬉し涙が止まない。
そんな私を見て藤堂平助くんは手を取って歩き出した。
「もー!仕方ないなあ」
自分が泣かしたとなれば決まりが悪いのだろう。
私の歩幅に合わせて歩いてくれた。
少し先を沖田先生が歩く。
だんだん落ち着いてきた私は、生まれて一度も男の子に手を握られたことがないことを思い出し、今更恥ずかしくなって、手を振りほどく。
「あっ。手…。ご、ごめん泣いちゃって…」
そしてふわっと微笑む。
「ありがとね!気ぃ遣ってくれて」
そしたら平助の顔がぼっと赤くなった。
あれ?もしかしてこいつ女慣れしてないのか?
私のこと美女って言ってたしな。
照れたのか。
一度も彼氏がいたことがない自分を棚に上げてニマニマする。
こいつ相手にいちいち照れることないな。
私は開き直れば強いぞ
「あれぇ?平助くん。顔赤いヨォ??」
からかうように言うと、
「う、うるさい」
と言ってそっぽを向いて歩き出した。
かわいいなおい。
「あっ平助くん待ってよ!私、持ってきた荷物あっちにおいて来ちゃったんだけど!」
なんか手が寂しいと思ったら、サックスとスクバのことをすっかり忘れていた。
「なっ!なら早くいえ!」
平助くんは戻って来てくれた。
二人でさっきの場所に戻り、お金をブレザーのポッケにいれ、サックスをケースにしまい、スクバはリュックみたいに背負う。
「一緒にきてくれてありがとう!
さ、行こっか。」
平助くんに言うと、無言でサックスを私から奪う。
持ってくれるのかな…
私と同じくらいの背なのに頑張る男の子だなぁ
「もしかしてそれ、平助くんのさりげない優しさ?」
というと、すごい勢いで
「べ!別にそう言うんじゃない!
この見たことない楽器もしかしたら武器かもしれないしな!ああ預かっとくだけだ!!」
と言った。 むふふ。素直じゃないなあ
「はいはい」
「それより!戻ったせいでだいぶ遅れてしまった!門限破ると土方さんに怒られるっ」
「出ました。鬼の副長」
「知ってるのか?」
「沖田先生もだけど、土方さんのファンでもありますから」
「ファンってなんだよ」
「尊敬してるってこと」
「…! 俺もだ!」
声が弾んだので平助くんを見るとすごくニコニコしている。
自分の上司を褒められて嬉しいんだろう。
可愛い奴め。
平助くんが走り出したので私も走る。
サックス重たいはずなのに、力持ちだなぁ。
そんなことを思ってるうちにどうやら屯所に着いたようだ。
平助が
「…はぁはぁ。危なかった。間に合った。」
と、息を切らしている。
「お前、なんでそんな平然としてるんだよっ」
そう。平助くんに反して私の息は切れていない。
ブラバン部の肺活量なめんなよ
「だって、平助くんが私の荷物持ってくれたんだもーん♡」
ぐーにした手を顔の前に持って行ってかわいこぶる。
現代に残した友、さっちゃんがいうには男はこういうのに弱いらしい。
キャラじゃないしぶりっ子は苦手な私は、ウゲェって言っておいたけど、こんなとこで役に立つとは。
平助くんは、なんかどぎまぎしている。
すると、奥から沖田先生が出てきた。
「ちょっと平助!遅いんだけど!
僕すっごい待ったんだけど!」
「あ、すみませんっ」
「お、沖田先生!私はここにいます!」
「うわっ何さ先生って。弟子にした覚えないし、やめて。」
「沖田先生は私の永遠の師匠です」
「…はぁ。とりあえず付いてきて。」
「はいっ!」
平助くんからサックスを受け取り、薄暗い廊下を歩いていく。
あああああ!新撰組の聖地!しかも現役の!やばい写メりたい!iPhone充電あったかな…
「ついたよ」
「えっ?」
どんっ
突然止まった沖田先生に、周りをキョロキョロしてた私はぶつかってしまった。
「君ねぇ…」
うっこれはイライラしていらっしゃるな?
本当は沖田先生の背中!いただきました!ありがとうございます!と言いたいとこだが、黙ってたほうが良さそうだ。
「すみませんっ…」
「…はぁあああ」
…ずいぶんと長いため息で。
どうでしょう。
ブラバンやってみませんか?
沖田さんはだるそうに襖をあける。
「土方サーーン。曲者連れてきましたァ。」
「総司っ!あける前は声をかけろと…って曲者?!」
沖田先生が目で入れと合図してきたので、部屋に入る。
何人か人がいた。多分幹部たちだろう。
ていうかやばい。沖田先生とアイコンタクト……♡
「女じゃないか」
「ずいぶんと変な格好をしているな」
ひそひそ声が聞こえたので、はっと我に帰り、土方さんに挨拶する。
「こんばんは!土方さんですか?!うわぁあ感激です!嬉しいです!握手してくださいっ!」
いきなり握手はまずかったのか、土方さんは刀を抜く。
「ちょっ土方さんっいくらなんでもっ」
後からやってきた平助くんがこの状況を見て言う
が、それを無視して土方さんは続ける
「お前…入ってきた瞬間女だから容赦しようと思っていたが…ものすごくずうずうしいな
どこのもんだ?間者か?」
低いバリトンボイスぅう!
でも今の私は殺されそうな女の子。そんなことでウキウキすることもできずに言葉につまる。
「…なぜ答えねぇ。斬られたいか」
このままでは斬られる。
ここは真面目に行こう。
「…初見での無礼をお許しください。尊敬する土方さんに会えた喜びで自分を失ってたもので。あと、私は間者ではありません。なぜなら死にたくないからです」
「…どういうことだ」
「あなた方がいう間者って長州の方のことですよね?倒幕派の。そんなあなた方の敵は、刀をつきつけられて死ぬ覚悟もなく命乞いをする者を間者なんぞにつかうでしょうか?」
「…死ぬ覚悟はねえのか。」
「あいにく、生きる覚悟しかもちあわせてません。」
ここまでいうと、土方さんは少し考えた後、刀をしまい言った。
「確かにこんなやつ。斬る価値もねえな。」
「ありがとうございます。」
頭を深く下げる。