と、引き剥がされてしまった。

ええー…

そして行くところがなくなった私はそろそろ失礼しようと、部屋を出ようとした。

すると、

「どこへ行くんだ?

げっ!

土方さんがニッと不敵な笑みを浮かべ私の方に来た。

「いえ…そろそろ失礼しようかと…

ジリジリと下がると、距離を詰めてくる土方さん。

トン

背中に壁が当たった。

「ははっ逃げられねえな

すると、いわゆる壁ドン肘バージョンをされまして。

普通の壁ドンより距離が近い。

「…!

恥ずかしくて顔を背けると、

「ああ。その顔たまんねえな

手首を掴まれ、部屋の外へと連れ出された。

なになになになにー?!

夜の縁側を2人の足音が響く。

「あのっ!やめてください!

私はグッと止まった

「いくらならいい?

土方さんは真剣な顔で聞いてくる。

「私、そういうのはお金じゃなく愛でやりたいので

と、言うと驚いた顔をした。

「ならなんでこんなとこにいるんだ?

「あなたには関係ないでしょう

ツーンと言い放つ。

「それにお前、ハルの時は表情が違っていた。知り合いなのか?

は?そんなとこまで見てるの?

「それもあなたには関係ないです

キッと土方さんを睨む。

「ふーん。お八重といったか。気に入った。これから覚悟しておけ

「はぁ?なんの覚悟よ。

「俺を好きになる覚悟だ。

ぐっ…なんだこの自信家

イケメンがやったらすごくいいだけじゃないか!

でも

「それなら入りませんね。私は貴方を好きにはならない。

「なぜそう言い切れる。

「ハルがいるから

自分で言ったその言葉に私は自分で驚いた。

言い訳なんかじゃなく、心から出た言葉…

「ふーん。ハルとは恋仲なのか。

勝ち誇った顔をする土方さん。

「残念でした。恋仲ではないよ。

「ははっ。恋仲でないとすると兄弟か。アレだけ距離が近いし、顔が似てるもんなぁ

ハメられた!!!

「きゃー!ハメられた!

むきー!と地団駄を踏むと、

「お前本当は上品さのカケラもねえな

ははは!と笑った。

「むー。そうですよ。私たちは双子です。

悔しさから涙目で睨むと、土方さんはボッと顔を赤くした。

「あれあれ?さっき上品さのカケラもないって言ってたやつに照れちゃってるんですか??あれあれ?頰が赤いですよ??

形勢逆転した私は土方さんをからかった。

「…うるせえ。可愛いのが悪い