「随分静かでしたね。甘味屋に着きましたよ。ってどうかしましたか?

悶絶してるハルを見て沖田総司が首をかしげる。

「いえ。異常ありません♡

私はこの上ない笑顔で沖田総司をみた。

「っ…! ならいいです。

少し顔が赤くなった沖田総司は私たちを中へと入れる

「こんにちはー!

中から女の人が出てきた。

「いらっしゃい!て、あら沖田はん

「こんにちはおまさちゃん。三人なんだけど席空いてる?

「三人? ああこの子らやね!なんや、メリケンやエゲレスみたいなカッコしとるのう。

「「こんにちはっ

むっ、ハルとカブった。

ハルを睨むと、ハルも睨んできた

「あははっ!元気のええ子らやな。席空いとるで!こっちきぃ!

私はおまさちゃんと呼ばれた人に案内され奥へと入る

「注文決まったら呼んでな

席まで行くとそう言い残し、おまさちゃんはお仕事へ戻っていった。

私たちは四人掛けのテーブルに、私とハルが隣に座り、ハルの向かいに沖田総司が座った。

「何食べます?ここ、僕のオススメの甘味屋なんですよ! 餡蜜もお団子もわらび餅もありますよ!

そう言って沖田総司はメニューを見せてくれたが、ミミズ文字ではっきり言って読めない。

「ハル、どうする?

「んー俺いいや。お金持ってないし

「あ!そういえば私もだ!

でもお菓子は食べたい。

チラッと沖田総司を見ると、

「もちろん僕の奢りです。

とニコッと笑った。

くっ…!作った笑顔なんだろうけどいちいちかっこいい。

「本当ですか?!なら私わらび餅とお汁粉と、餡蜜と、あ!あの人が食べてる水羊羹も食べたーい!

「え〝っ

沖田総司から変な声が聞こえた気がしたけど、気にしない。

「桜そんなに食うの?!なら俺だって負けない! じゃあお団子4つとー、サイダーって置いてんのかな?

「置いてないでしょ

「じゃあ思い切って抹茶飲も!

「そ、そんなに食べるんですかぁ?

沖田総司の顔が青くなっている。

あはは!面白い!

「おまさちゃ〜ん…注文お願い…

すこしテンションが低い気がするけど、気にしない!

「はいはーい

「えーっと、わらび餅と、水羊羹と、餡蜜と、お汁粉二つづつ!

「あとあとー!お団子4つと抹茶!

「えらい食べるなぁ。沖田はんは?

「僕は今日はいいや…

あははと力なく笑う沖田総司…

貴重!

私はリュックの中からスマホを取り出し、カシャっとやった。

「わっ!ばか桜!

ハルが急いで私のスマホを隠す。

『アホ!出すなよ!

『だって貴重なんだもん!

「さっきのカシャってなんですか?

沖田総司が首を傾げた。

「ん?なにか聞こえましたか?

あえてとぼけて言う。

沖田総司はおかしいなぁと言ってたが、本題に入った。

「まあいいか。ではまず、君達の名前教えてください

相変わらずのニッコニコ顏

「「佐藤ハル・桜です」」

ぬ?ここで双子発揮?

ハルと顔を見合わせあはは!っと笑う。

すると沖田総司もフッと口元を緩めた。

「あれっ?沖田さん何気笑うの初めてじゃない?

私は嬉しくなり、弾んだ声で言った。

「え?そ、そうですか?

「だよね。やっと本気で笑ったって感じ!

ハルも思ってたみたいだ。

「ふーん。結構人のこと見てるんですね

「いや、沖田さんのはわかりやすすぎます。

「うん。言えてる

「ええ〜…

困り顔の沖田さん

悪い人じゃないかも

「ところで、悪いんですがもう一回名前言ってもらっていいですか? 同時だったのでよく聞き取れませんでした

なんだよ!

「えーと、私が桜で、

「俺がハル!

「桜さんにハルさん。よし!覚えました!

と、ここでおまさちゃんが大量のお菓子を持って登場。

私たちは上機嫌で食べ出す。

沖田さんはそれを見て優しく笑った。

「話を戻しますね。君達はどうしてそういう格好をしてるんですか?

そういう格好って、これだよね?

ハルと顔を見合わせる。

「僕達の父が貿易商でして。たまにくれるんですこういう服。

「そうだったんですか

「「はい!

「てことはお国はどちらです?

「九州の方です。

ハルが答える。

「遠いですねぇ。なぜこちらへ?お父様も一緒ですか?

「いえ。僕達、いろいろあって両親と喧嘩してしまいまして… 勢い余って家出してきちゃったんです

す、すごいよハル!よくもまぁありもしない嘘をペラペラと…!

「ええっ?!二人でですか?!

「「はい。

「駆け落ちです♡

私がハルの腕を組みニッコリ笑うと、沖田さんはまさにギャグのような顔で驚いた。

ハルは驚いた顔をした後、乗ってきた

「そうなんです。

私の肩に腕を回す。

「あ、え…失礼ですけどお二人はどういう関係ですか?

「私達は双子です!

「えっ…じ、じゃあ兄弟で…

沖田さんは本気でテンパっているようで、あわあわしている。

私達は目を合わせた後、

「「くっ…あははは!!

大爆笑した。

「へ?

沖田さんはさらに戸惑った顔。

「沖田さんそんな顔しないでください!嘘ですよ嘘!

「うそ?

「沖田さんどんな反応するかなーって!

あははは!と二人で笑っていると、すごく疲れた顔で

「はぁ。嘘ですか。本気でビビりましたよ…でも、だとしたらあの時の息のあった動きも納得です。

「あー。あの時の?

おそらく侍を倒した時のことだ。

「そうです。あの男倒した時の演技すごく上手でした

「「えへへへ〜

二人同時に照れる。

「特にハルさんは強かったですね!なにかやってるんですか?

ハルに身を乗り出し聞く。

「いやー特にはやってないけど、昔から喧嘩ばっかしてたし☆

パチンっとウインクするハル。

ちょっと。星飛ばさないで。

「バラガキですねえ!まるで土方さんみたい!

あはは!と笑う沖田さん

「土方さん?

ハルが聞いた。

「ああ、新撰組の副長なんです。簡単に言えば僕の上司。

土方歳三の事かな?

「桜さんも女の方にしては強かったです

「あはは〜私はハルの見様見真似で

頭を掻いて言う。そう。所詮ハルのマネナンダヨォオ(T ^ T)

「それでもかっこよかったです。あ、どうですハルさん!新撰組に入りませんか?