二人で立ち尽くし見送っていると

「あのーすみません。

1人の男が現れた。

「なんですか?

ハルが私を背中にかばうようにさりげなく男の前に立つ。

ほんとなんでこういうとこだけ男前なわけ

「やだなぁ。そんな警戒しないでくださいよ。はじめに名乗っておきますが、私は新撰組の沖田総司です。

「新撰組っ?!

思わぬ人物の登場に私は思わず大声を出してしまう。

「おや、知っててくれてるんですか?嬉しいなぁ。

ニコニコと沖田総司は笑う。

「…その沖田総司ともお方が俺たちに何の用です?

「あの男の件で貴方達に話を聞きたいんです。どうです?甘味屋にでも行きませんか?

沖田総司を睨むハルと始終ニコニコの沖田総司。

「それは俺だけじゃダメなのか?倒したのは俺だからこいつは関係ない

「せっかくなら三人でお話ししたいですね

「……

ハルは黙ってしまった。

私を守ろうとしているのか。

うんうん。いい感じに従順に育ってるね←

「ハルいいよ。私もいく。

ハルの肩に手を置き前へ出る

「でも…

「あはは!大丈夫!いざとなったらハルを盾にして逃げるし

「それしたらぜってぇ許さねえ

「決まりですねっ!じゃあ付いてきてくださいっ!

先を行く沖田総司を追う二人。

『ねぇ。ハル。聞こえる?

私はテレパシーを使ってみた。

『聞こえるよ

するとハルも応答してくれた。

目が合う。

二人同時にテレパシーを使いたいと思ってる時のみ通じるようだ。

『新撰組ってことは、ここ、幕末の京都だよね?

『うん。そうだと思う。とにかくこの流れはまずいな。新撰組は人斬り集団って呼ばれた奴らだぞ

『私達切られちゃうの?

『場合によっては?

「えー最悪。人助けして切られるとか…

思わず声に出してしまった。

私は手で口を覆う。

沖田総司がこちらを向いた

「なんか言いました?

「いえ。何も。

できる限り平静を装う。

ハルを見るとニマニマとこちらを見ている。

私の失態が嬉しいのだ。

あとで締める。

「そうですか…

沖田総司はまた前を向いた。

ほ…

「あ、そうそう。別に私たちは誰彼構わず切るわけじゃありませんので

突然また沖田総司が振り返りニコッと笑った。

あはは…と苦笑いで返す。

聞こえてんじゃん〜!!!

『バカだね。

『ハルには言われたくなかったけど自分でもそう思う。

『どうする?多分話聞くって言ってるけどそんなもんじゃなく尋問だよ

『やばいそれ笑えない。でもテレパシー使えるし口裏を合わせることはできるね。

『まぁそれに加え俺の頭脳があればなんなくクリアだよね

『うっざー!事実だけどうっざー!こいつに勝てない自分に腹立つ。

ハルは意外にも学年一位の学力。

それでいて喧嘩も強い。

私たちがいた街の不良を大体は従えてる。

このクソチートが!!!

そのせいで私はいつも2位。

『桜だって俺ほどじゃないけど頭いいしバド部主将だし、かわいいじゃん

『双子の兄にそういうこと言われても嬉しくない。しかもかわいいとかキモい

『あはは!俺に勝てることみっけたよ。

『何?

『毒舌。口が悪い。

ドガッ!!

私がハルの足を思いっきり蹴ったところで、沖田総司は足を止めた。