「花泉桜です」

普通は名前は自分から名乗れってとこだが、もう知っているので別にいい。

「お前はどこからきた。」

「江戸です」

東京は江戸だよね!

「江戸にそんな着物はない」

うっ…確かにそうだよねぇ

「私が考えた着物です。」

適当に言っておく。すごい。私が日本においての洋服の第一人者みたいになってる。

「異国人はそのような着物を着ている。」

ああ…私が異国人じゃないかと

「私は異国人じゃないですし、あちら側の人間でもありません。」

おそらくこの人たちが一番気になるところだろう。

この女は自分たちにとって敵か否か。

それを先に言うと、土方さんは少し驚いた顔をした後、単刀直入に聞いてきた。

「間者ではないと言うんだな?」

「はい。そもそも私あの長州の浪士に斬られそうだったんですよ?いくらあの人の頭が悪くても味方は斬らないでしょ」

昼間のことを話題に出すと、土方さんは思い出したように言う

「そういえばお前。あの刀を全て避けていたな」

刀を避けたという発言に周りがどよめいた。

「いやぁだってあの人、太刀筋めちゃくちゃなんだもん」

私が本当のことを言うと、外野の一人が聞いてきた

「お前っ剣術か何かやっているのか?!」

誰だこの人は!名前と顔の一致は難しいな!

「誰ですか?あなた」

私は首をかしげる。

「あ、あぁ…俺は永倉新八だ」

モノホンンンンン!!!!生きてる新八ィイイイ!!!

私は無表情のまま興奮で鼻血を吹き出す。

「お、おい!!大丈夫か?!鼻血が…」

永倉さんが自分の着物の袖を私の鼻に当ててくれた。

「はっ、すみません…」

「なぜお前新八には名を聞いて俺には聞かねえんだ」

土方さんが睨みをきかせていってきた。

「だってもう知ってますし…」

「なんだと?!」

土方さんが警戒している。

この私に!

「副長と呼ばれていた時点であなたは山南さんか土方さんですよね?でも、山南さんはそんなに野蛮な人じゃないと信じてるので、あなたは土方さんです!」

ビシィ!と言う。

新撰組ともなれば普通に町の人も知ってるだろうからこれはセーフだろう。

「じゃあ私は近藤だということもわかっていたのか?」

中心にいた人物が言う。

「もちろんですよ」

にっこりと微笑みかける。

そうかと、近藤さんは笑った。

調子に乗った私はベラベラと話してしまった、

「あと、誰が誰かはわかりませんが、沖田総司さんに斎藤一さん、原田左之助さんに藤堂平助さん、あとは…山崎丞さんですかね!」

ふふん!とドヤ顔をしたが、山崎の名を出すのはまずかった。

彼は観察方。

隊士の中にも彼を知らない人がいるくらいだ。

それを知っているのはおかしい。

後に後悔することになる。

「わぁ!俺のことも知ってるんだ!」

「誰ですかあなた。」

背の低い可愛い子がいる

「なっ…さっき言ってたじゃん!藤堂平助だよ」

あ、この人が!

「そして俺が原田左之助だ!」

セクシーそうな男の人が平助さんの肩に腕を回し自己紹介する。

「なっ!テメエら!まだこいつが間者じゃねえとはっきりしたわけじゃねえ!!簡単に気を緩めんな!」

土方さんがビシッと叱る。

「副長の言うとおりだ…俺や総司はともかく、山崎まで知っているのはおかしい」

無口な人がいう。消去法で斎藤一だろう。

「だよねぇ。機密に壬生浪士組の内部を調査してるとしか思えないよねぇ」

緊張感のない口調で言う美青年の背後には黒い殺気がうごめく。

沖田総司かな

てかまだ壬生浪士組だったのか

「今本当のことを言わなきゃ、拷問にかける」

土方さんが真剣な顔で言ってきた、

ああ。もう終わりかもしれない。

私は未来から来たことを話すことにした、

その方が受け入れてもらえるかもしれない!

「わかりました。でも、私が今から言うのはあまり聞かれたくないので近藤さんと2人にしてもらえますか?」

「私と?」

トップがわかっててくれればそれでいい。

するとすかさず土方さんが

「はぁ?!怪しい奴と近藤さんを二人きりにするわけにいかねえだろ!俺も行く。」

ええっ?!

「土方さんっ!それはもしや、近藤さんが私に負けるとお思いで?」

「なわけねえだろ!!近藤さんがお前みたいな小娘に負けるわけねえ」

「ならいいじゃないですか」

なんだこの人は

「…色仕掛けするかもしんねえだろ」

「それに近藤さんがひっかかるとでも?」

「なわけねえだろ!」

んじゃなんなんだよ…

近藤さん大好きか

「そうですね。そういう色仕掛けにひっかかるのはタラシの土方さんだけですもんね」


ブッと吹き出す音が聞こえた。

誰。

…沖田さんだ。確実に沖田さんだ。
肩が震えてますよ

「はぁ。わかりました。土方さんもいて結構です。」

「それなら僕もいいじゃないですか!」

沖田ぁ!うるせえよお前!

話が長くなる!

「私はあまり人に知られたくないから近藤さんと2人って言ったのに、なんで最終的に3人に話さなゃダメなんですか」

「近藤さんと土方さんと僕は繋がってるんです!それに貴方のこと信じてないですし」

なにその理屈

「なら近藤さんと2人でお願いします」

「土方さんこの女切ってもいいですかィ」

ちょっとお?口調変わってますよ。

「やめておけ。わかった。近藤さんと2人でいい。」

やった。と心の中で喜ぶ。

「近藤さん。なんか怪しい動きしたら遠慮なく切ってくだせぇ」

沖田さんは口を開けば斬る斬るって

というわけで他の人は部屋から出て行ったので私は今、近藤さんとふたりきりです。

「桜と言ったか。正直に話してくれるんだろう?」

「ええ。それは約束します。」

近藤さんは雰囲気が柔らかいので話しやすい。

こちらも穏やかな気持ちになる。

「だから、近藤さんも私の話を信じると約束してください」

近藤さんは静かにうなづく。

「私は未来から、ええと、2015年だから…約150年程後から来ました。」

近藤さんの反応を伺う。

少し驚いた後

「…続けてくれ。」

と言った。これが局長の器か。

藤堂さんだったら絶対騒ぎ立てるな


「実は私はそういう体質なんです。気がつくと昔にいる。この江戸時代に来たのも12回目の時渡りでです。」

タイムスリップといっても伝わらないだろうと、近い日本語で言う。

「この時代ではなんというかわかりませんが、弥生時代と言われる時代や、平清盛の時代、織田信長の時代にも行ったことがあります。」

一旦話すのをやめるが、近藤さんは黙って話を待っていた。

(ちょっと設定変えるよー

「その時渡りした時代から現代に戻る方法はあることにはあるんですが…。」

これを言ってどう思われるか心配だ…

言い出しにくくて黙っていると、

「あるんだったら最善を尽くす。
教えてくれ

ありがたいんですが、そしたらわい、また死にます

「…死ぬとですね、戻れるんです

「死ぬと??

近藤さんは怪訝な顔で聞いてきた。

「はい…前は関ヶ原の戦い…徳川と豊臣が戦ったときにちょうど時渡りしてしまってですね、そん時私斬られたんですよ。そしたらすごく痛くて…私死んだなと思ったら意識がなくなって、気付いたら元の時代にいました。

「……