やっと片付いた頃、沖田くんが帰ってきた。

「あれ?なんか疲れてますね。何かあったんです?」

くそ!誰のせいだと思ってんの!

「…押入れの片付けをしてたんです」

「ほんとですか?!助かりました〜。僕整理とか苦手で〜」

笑い飛ばすな!私の苦労を!!

「ご飯、持ってきましたよ」

えっ!まじで?!気ぃ利くじゃん!

「ありがとう!」

沖田くんから受け取ると、それは大きなおにぎり2個だった。

「おお!こんなおっきいの初めて見た!」

男だけだとやっぱたくさん食べるんだなぁ〜

「普通だと思いますけど…僕の手の大きさで作ったからですかね」

「え?じゃあこれ沖田くんが作ってくれたの?」

「はい」

可愛いところあるじゃーん!

「手、おっきいんだね」

私は沖田くんに向かって自分の手を差し出す、

そこに沖田くんが手を重ねてきた。

「わぁ!おっきい!私も女子にしては大きいほうだけど、第一関節までしかない!」

この手で沖田くんがおにぎりを作ってるところを想像すると微笑ましい

「桜さんの手は柔らかいですね。」

手を握って揉んできた。

「あ、気持ちい!もっと!」

「はいはい」

沖田くんが私の手をマッサージする。

私は空いた方の手でおにぎりを掴み、
「いっただっきまーす」

おにぎりにかぶりつく。

が、噛んだ瞬間

「あんま!!!」

なにこれ!え?なにこれ!

砂糖と塩間違えた?!

ベタなボケだね!!

沖田くんから手を振り払い、両手で口元を覆ってしまった。

「あれ?甘いおにぎりは嫌いでしたか?」

間違えてはいないんかい!!!

私の反応を見た沖田くんはオロオロと申し訳なさそうな顔をした。

善意でやったんかい!!!

うぅ…これは食べなきゃ沖田くんに失礼だし…

「いや、私は甘いおにぎり好きだよ?むしろしょっぱいおにぎりとか邪道だから」

平静を装ってパクパクと平らげていく。

当の本人はよかった〜と、にこにこして私が食べるのを見ている。

ここで表情を崩したら、死ぬ!!

そう考えることでなんとか二個目の半分までは食べた。

でも

「やばい。お腹いっぱい…」

この量は味とか関係なく食べきれないよ…

すると、

「じゃあ後は僕が食べますね」

と言って私が持ったままのおにぎりを食べてきた。

ぎゃあああ!!!