新撰組と女子高生のいろいろな話。

そして休みの日。

私は街の人に場所を聞きながら、なんとか試衛館に来ていた。

「こんにちはー!!」

元気よく挨拶すると、ドタドタと慌ただしい足音がして、目つきの悪い男の人が出てきた。

「ぁあ?女が何の用だ。」

うへぇ怖いねこの人。

不機嫌そうな彼の表情は、別に用はないと言ったら殺しにかかるほど険しい。

「あ、えっとぉ〜…あ、ここにいる女の子の生徒さんに用があって…」

苦し紛れにしてはなかなかいい案だと思う。

だが、その青年の答えは

「はぁ?何を言ってるんだ。ここに女の生徒はいねぇ」

というものだった。


「え?それ本当ですか?おかしいなぁー確かにあの子試衛館って言ってたのに」

しかし、その女の子にも特に用はなかったので、いないと言われ少し安心する。

「すみません。私の勘違いだったようです。」

「気にするな。用がないなら帰れ」

許してくれたけど、最後まで怖い人だったな

プラプラと店に戻った。


それからお仕事や街巡り、桃と遊んだりと、気付けば早5年。

すっかりこっちの暮らしにもなれ、相変わらず年を取ることもなく元気に過ごしています。

いやぁ。いろんなことがあったなぁ。

私は江戸の暮らしをすっかり満喫していた

桃はもう結婚もしていて、たまに子供と遊ばせてくれる。

そしてその度に桜は誰かいい人いないのかと聞いてくる。

そんな私の恋愛事情はというと、告白されることは何回かあった。

けど、ずっと一緒にいられないのに恋人を作るのは考えられなかった。

イケメンと思う人もいたにはいたが、それどまりだ。

桃は、一回くらいおつきあいしなよと言ってくれるんだけど…

そしてそれと同じくらいの頻度で

「桜は、初めて会った時となーんも変わんないよね〜」

と、羨ましそうにも言ってくる。。

その度にあははっと返すが、正直もう隠し通せなそう。

ある日、私は京に移ることにした。

もともと旅人設定だったし、当初の予定より大幅に居てしまったし、移るなら今だろうと思ったのだ。

ここ5年で貯めたお金を持って、初めてここに来た時の服で支度をする。

「桃、今まで本当にありがとう。私あの時助けたのが桃で本当に良かった。」

「さ、桜ぁー!!行かないでよ!ずっといてよぉお!私、なかなか友達作れなくてっ…桜、初めての友達だったんだよ? なのにっ…うう…」

桃…

私も泣きそうになってしまう。

桃をそっと抱きしめると、女将さんもやってきた。

「桜ちゃん。本当に行っちゃうのね…。桜ちゃんが来てからお店さらに繁盛するようになって…感謝しても仕切れないわ。それに貴方は確かに私の娘だった。いいえ、これからもずっとよ」


女将さんも泣いてくれている。

そして、これ、少しだけど私と桃から。と、お金が入った小袋を渡してくれた。

それをありがたく受け取ると、私はあらかじめ買っておいた簪を二人に渡す。三人お揃いのものだ。

感動的な別れを告げ、暫く。

私はようやく京にたどり着いた。

1865年のことだ。