いつの間にか眠っていたみたいだ。

気づくともう朝で、隣に桃の姿はなかった。

昨日の居間に行ってみると、すでに皆さんは起きていて、朝ごはんの準備をしていた。

「桜ちゃんおはよう。よく眠れた?」

お母さんが机の上に箸などを置きながら優しく聞いてきた。

「おはようございます。おかげさまでぐっすりです!」

「あ、桜やっと起きた!これ!運ぶの手伝って〜」

別の部屋から桃の声が聞こえる。

「こらこら。お客さんに運ばせるんじゃないよ」

お父さんだ。

「桃のお父さんおはようございます!タダで泊めていただいた上にご飯まで用意してもらって… お手伝いくらいさせてくださいれ」

「そうかい?ならお願いしようかな」

お父さんも微笑む。

皆んなで朝ごはんを食べ終わると今度は出勤の準備をする。

「桜、私の着物貸してあげるからそれ脱ぎなよ」

「あ〜そうだね!これじゃ目立つよね」

私は服を脱ぐ。

「桜はー、これが似合いそう!」

と言って桃が出してくれたのは桜模様のピンクの着物

「わー!かわいい!桃センスいいね!」

「ん?センス?」

「あ、えーと、ってこと!」

「ありがとー!早くこれ着て!」

着物を渡されるけど、着方をしらない。

「ねえ桃。これどうやって着るかわかんない。」

「ええ?あ、そっか!旅人だもんね!」

桃は手際よく着せてくれる。

そして私が脱いだ服を風呂敷に包んで渡してくれた。

「ありがとね!何から何まで…」

「いいっていいって!ほんの気持ちでだよ!」

桃は白に赤の金魚の着物を着ている。

すごく似合うなあ

「さ、甘味屋行こうか」

桃に連れられ甘味屋につくと、女将さんに話をしてくれた。

女将さんは、大歓迎といった感じで迎えてくれて、住むとこがないことを伝えると、じゃあ住み込みで働いて?ってことで、店の二階の空き部屋を貸してくれた。

ありがたや。

「いらっしゃいませー」

「ご注文お決まりでしょうか?」

なかなかお客さんが途切れなくて忙しい。

「あれ?貴方新しい人?かわいいわねえ」

「はい!今日から入った桜です」

おばさまが話しかけてくれた。

他にもたくさんの人に声をかけてもらい、緊張もなくなってきた。

「また来るね」

そう言ってもらえるのが嬉しくて夢中で働いていると、女将さんがお団子3個と休憩をくれた。

ほっと一息、お店の裏で休む。

涼しい風が髪を揺らす。

気持ちいいなー!

気づいたら歌っていた。