私はキラキラと目を輝かせわらび餅を頬張る。

おいひいなぁ〜

幸せな気持ちでもぐもぐしていると、女の子が話しかけてきた。

私と話をするために特別に休みをもらったらしい。

「そういえば名前聞いてなかったよね? 私は桃っていうの!貴方は?」

ん!そういえば!

「…ごくんっ。私は桜だよっ」

わらび餅を喉に流し込み答える。

「へえっ!桃と桜ってなんかいい組み合わせじゃない?!」

「あははっ確かに。どっちも可愛い花だよね」

「私、桜さんとお友達になりたいな」

「ほんと?!私もそう思ってたところだよ。桜って呼んで!」

「きゃー嬉しいっ!桜っ!ふふふっ」

本当に嬉しそうに笑う。

「じゃあ私は桃って呼ぶ!」

「呼んで呼んでー!!あ、そういえばさ、桜はなんでそんな格好してるの?」

あ、だよね。きになるよね

「私は遠くから来たからさ…ここら辺ではこんな着物見ない?」

「全く見たことないよ!ヘェ〜遠くから来たんだ…」

まじまじと私を観察している。

「そうそう!一週間くらいここにいようと思って!」

「桜は旅人か何かなの?」

「そんな感じだよ」

私の場合時を超えて、ですけどねwwww

「じゃあいろんなもの見たことあるんだ!私ずっと江戸にいてばっかりだから…お話聞かせて?」

「もちろんさ!あ、その前にここって江戸なの? 今日は何年何月何日?ずっと旅してるとさ、狂っちゃうんだよね〜。時間感覚。」

「ヘェ〜そういうもんなんだ。今は1860年5月だよ?」

ほうほう。てことは幕末あたりか?

「そっか!ありがと!じゃあお話始めてもいい?」

「あ、うん!聞かせて聞かせて!」

それから私はと遠い国と称して現代の話をした。

珍しいものばかりの私の話を目を輝かせて聞く桃。

時々江戸のことも聴きながら話していく。

するといつの間に時間が経ったのか外はもうすっかり暗くなっていた。

「あっもうこんな時間…」

「本当だ〜!桜の話に夢みたいですごく面白かった!」

「そう?ならよかった」

二人で顔を見合わせフフッと笑いあったはいいものの、これから行くあてがない。

お金もない。

どうしよう。野宿でもいいけど、ここら辺町しかないから絶対変な人いる。

「あのさ、桃。」

「ん?なあに?」

「実は私、今日ここにきたばっかで行くあてもお金もないんだよね〜あははっ」