寒牡丹は私が子供の頃にうちの庭にあった花だ。
祖母が毎年大切に育てていた。
なんとなく懐かしく感じて、最後にとっておいたのだ。

この実験が失敗したら、もう次はない。
これまでの研究を無駄にしたくない。

ふと寒牡丹をみると、
その二輪がある場所だけ異世界なのではないかと疑うほど、美しかった。
まるでかつての地球からみた太陽と月のように輝いていた。