桜が散るのと同時に私は高校生になった。家から近いというのと、可愛い制服に惹かれてという理由で選んだ高校。期待と不安と楽しみでいっぱいだった。

新入生名簿を見て、自分のクラスを探す。[10番 押見 新絆]「あった。E組か、はじっこだ。」これで“にいな”と読む。すぐに読めない名前はほんの少しコンプレックスだった。

さて出陣。E組の扉を勢い良く開けた。
しかしそこにはまだ数人の男子しかおらず、少し恥ずかしかった。「なんだ女子一番乗りか」ボソリと呟くと、後ろから声が聞こえた。「残念〜!わたしが一番でした!」「ひゃ!」思わず変な声が出てしまった。「そんな驚かんでよ(笑)私は栗山さつき よろしくね」高校生になってからはコミュ障を治そうと思ってた私はこういう子を待っていた。素敵だ。最高か。「うん!私のことは新絆で!よろしくね!!」このあと入学式があったが、この日はさつきと仲良くなれたことが嬉しくて、他は結構どうでもよかった。