高校を卒業して、すぐに就職をして一人暮らしもした。

最初についた職場は時給900円のアルバイトだったから生活が辛くなってすぐに転職を考えたけどこの御時世、高卒とゆうレッテルだけでは正社員としてどこも雇ってもらえず休日は就活だけの日々が続いた


結果 いくつかの求人サイトで面接が受かり正社員として働ける事になったのは美容室のフロントだった

「じゃあ今から中山さんが実際に働いてもらう店舗にいってもらうんだけどがんばってね!」

「はい!では失礼します!」

自分が就職する美容室は日本にいくつか存在し自宅から近い店舗に配属と伝えられ本社で一通り書類を書き終えてから自分の配属先の店に向かった

美容室なんだからイケメンいてもおかしくない!むしろ前の職場が既婚者しかいなかったし年齢が近い同性がいなかったし友達もできちゃうかもしれないんだからウハウハしちゃうよー!

きっとこれからキラキラした人達に囲まれて仕事をして自分もいつしかキラキラしちゃうに違いないでしょっ美意識高めっ

そんな期待を抱いていくつかの電車を乗り継いで配属先の店舗に到着、すこし乱れた髪を手櫛で整え深呼吸をしてから足を進めた

「いらっしゃいませー!本日はいかがなさいますか?」

「あっ今日からフロントとして働かせてもらう中山です」

「中山さんですね!少々お待ちください、店長呼びますね」

フロントに立って自分を対応してくれたのは黒髪ショートの目立たない女性だった
店長はどんな人なんだろうとワクワクしながら周りを見渡して仕事をするスタッフをみた

あれ、あれ、若い人がいない…
美容室といえばアシスタントがいて
アシスタントは若い子がやってる想像だったけどここはアシスタントいないのかなあ

「はじめまして中山さん」

「はじめまして!…」

若い子を見つけられずしょぼくれる自分に優しい声で呼びかけてきた男性に顔をあげて見るとそこに立っていたのは


ハゲ

ハゲなのだ
いやいやいや美容室でハゲが店長って問題あるよね、だいぶ問題あるけど気のせい?
しかも前からハゲだよー…やばいよー…

「よかったらバックルームで話さない?」

「いやです」

なんて言えないから答えはもちろん

「はい」

これはキラキラした世界を想像した自分が浅はかだったと後悔しながらハゲ店長と一緒にバックルームに重い足取りで向かった。