薄暗い部屋の中、一人の女が男の前に跪いている。

窓から零れる月明かりの光が優しく、掘りの深い整端な男の顔を照らしている。

跪いている女の首には、何故か赤い首輪がされていた。

そして男を見上げる女の眼差しは、主人を見詰める犬そのもの。

今にも尻尾を降りそうな勢いで、鼻息も荒い。

「…美沙子、ご飯の時間だよ」

男は女の視線に合わせるべく跪くと、優しく女の頭を撫で、ポケットから缶詰を取り出した。