「えー、大丈夫よ」


「全然大丈夫じゃない!ほーんとおっちょこちょいなんだもん。昨日も家のなかで躓いて転んでただろ」


「そ、それは伊織がゲーム機を床に放っておくからよ」


「ちゃんと足元注意してれば避けられたはずじゃんか」


「うっ……そうだけど」


「……っははは、2人共面白い」


小学生に中学生が説教されてるっていうのが面白くて、つい笑ってしまう。


「伊織が余計なこと言うから類に笑われちゃったじゃない」


「類、他にもあるよ。一昨日お母さんがいないとき姉ちゃんが夕飯作ろうとしたんだけど」


「伊織!ダメ、その話は言っちゃダメ」


「むぐっ」


亜紀が慌てて伊織の口を塞ぐ。亜紀、離してあげないと伊織が死にそうだ。


「んー!んー!」


パシパシと伊織が亜紀の手を叩くと、渋々口から両手を離した。


「ぷはっ……、とにかく、危なっかしいんだから困ったことがあれば俺に言えよな」


「心配性ね伊織は」


「本気で言ってんの!男にからかわれたりいじめられたりしたら、俺がやっつけてやる!」