引っ込み思案で人と話すのが得意じゃない俺にも、こうやって2人は話を振って会話に入れてくれる。


こいつ全然喋らないし一緒にいてもつまんねー、って思うのが普通なのに。


出会ったときからこの姉弟は一度もそういうことはしなかった。


「姉ちゃんが部活に参加するようになっても、俺と類と3人で遊べる?」


「美術部は毎日あるわけじゃないし、遊べるわよ。ただ勉強も小学校とは違って忙しくなるしテストも難しいから、回数は減っちゃうかも」


ごめんね、と申し訳なさそうな顔をする。


「あーあ。俺と類が1年早く生まれてたら姉ちゃんと同じタイミングで中学生になれてたのにさ」


「そればかっかりはどうしようもないわよ。私の方が年上なのは変えられないんだから」


まだ汚れ1つない新品のセーラー服を着てる亜紀を見ると、俺達の方が年下なんだって改めて思い知らされた。


たった1年の差なのに、大きく感じてしまう。


このことに対して俺よりも伊織の方が数倍悔しがってる。


「だって姉ちゃんと離れたら、何かあったとき助けてやれないじゃん」