ひょこっと横から顔を出した真冬に驚いて、一歩後ずさる。


「あの中で誰が自分の好みか考えてたんだろ」


「……そうだって言ったら」


「ダメ!吉原さんはダメだかんな!」


「冗談だって。吉原さんはお前が話しかけるんだもんな」


「そう!始めから一緒に回れるようにするんだ」


二カッと笑ってピースサイン。


そんな吉原さんもさっきから真冬の方をちらちら気にするような素振りをみせてるから、明日の打ち上げ花火を見る相手は決まったも同然だと思うけどな。


「はぁーい!皆そろったから屋台回ろう!」


「そのあと肝試しやる予定だから、皆と離れすぎないようにね。もし何かあったら連絡してー」


「よっしゃー!食いまくるぞ」


人の流れにのって左右にずらっと並ぶ屋台を物色。


始めのうちは女子は女子、男子は男子でなんとなく固まって歩いてたけど、だんだん混ざって歩き出す。


真冬も早速友達といた吉原さんに喋りかけていて、順調な様子。俺もそろそろ行くか、と近くにいる香里の肩に手を乗せた。


「よっ、香里」


「裕貴」


こっちを振り返ったとき控えめに揺れた青の髪飾りと白い首筋に、鼓動が早まった。