「そっか。俺も行くんだ、夏祭り」


「せっかくだから大人数で行った方が楽しいもんね。屋台回ったあと花火か肝試しやるらしいよ」


肝試しって初めてだから面白そう、と興味津々な顔で言う。


「香里っていざ自分の番になったら怖がって先に進めなさそう」


「そんなことないよ!裕貴こそ、案外途中でリタイアしちゃうんじゃない」


「しねぇよ絶対しない。むしろお前がリタイアする、にかき氷1つ賭けるわ」


「それなら私は裕貴がリタイアするに林檎飴賭ける」


「言ったな?おごりだぞ」


「当日どうなるか楽しみしてますね」


「そっちこそ」


くだらない賭けだな、って誰かにツッコまれる気がするけど聞かないでおく。好きなやつとの会話なら話題は何だっていいと思えるものだ。


「……あ、私もう行かなきゃだ。裕貴は部活でしょ?頑張ってね」


「任せとけ。じゃあな」


「ん。バイバイ」


香里はひらひらと手を振って階段を下りていった。