柚月なら分かってんのかな。
何で永瀬が特定の相手と付き合わないのか、誰のものにもならないのか。
……んな話知ったとこで、どうにもなんねぇんだけどさ。俺と香里の関係がそれで変わるわけじゃない。
関係なら、自分で変えていく。
――なんて考えてるうちに終了を告げるチャイムが鳴って、先生が教室を出て行くとすぐに皆喋りだす。
『今日から部活のメニューきつくなるから嫌だ』『外部コーチ来ちゃうんだよねぇー怖い人』と、若干憂鬱な話が聞こえてくる。
それとは逆に『夏休みまであとちょっとじゃん!』『夏祭りは行く?』『どうしよう柚月君と行きたいかも』という明るい話題も飛び交っていて。
俺も部活に行く前に話つけておかないとな。
手早く荷物をまとめたあと、教室を出ていこうとする香里を呼び止めた。
「香里、お疲れ」
「裕貴もお疲れさま」
「あのさ。香里って夏祭り行く?」
「クラスの行ける人で集まろうってやつだよね?」
「そう、それ」
「うん。友達も行こうって言ってるし、その予定」
香里が行くなら、俺の選択肢は1つしかない。



