「裕貴声!でかい!」


真冬は慌てて周囲を見回すが、皆次の授業が始まるまでの時間を好きなように過ごしているから問題ない。


「悪かったよ。でも、お前が吉原気になってるって意外だわ。ああいう、なんつーかふわふわしてる子タイプだったか?」


「前までは一緒に楽しく騒げる子がタイプだったけど、ああいう子も可愛いなって」


この手の話題が恥ずかしいのか、ほんの少し耳を赤くしながらしゃべる真冬が微笑ましい。


「そっか。じゃあ夏祭りで近づけるといいな」


「吉原、今彼氏いないらしいから頑張る。裕貴もちょっとでも気になる子がいるんだったら、誘って夏祭り行こうぜ」


「はいはい、考えとく。……もう授業始まるぞ、席つきな」


「ラスト5限、頑張るかー」


「寝ないようにしろよ」


「裕貴もな!」

真冬に席に着くよう促した後先生がきて、ざわついていた教室内が徐々に静かになる。


「今日は一昨日の続きからやりまーす。教科書100ページ開いてー」