パチン、と指を鳴らす。少し考えれば気づくって。


"クラス皆で行く計画"っていう大義名分があるから1日目に意中の相手と接近しやすくなるし、いい雰囲気になればそのまま2日目は2人で過ごそうと約束を取りつけられる。


だから心なしか、クラス全体がここ数日浮足立っているのか。


「もちろんお前も行くよな、裕貴」


「あー……俺は」


何となく香里に目を向ける。あいつは、行くんだろうか。


「なになに、気になる子でもいんの?!」


「っちげーよ。俺のことより、真冬は?」


変に詮索される前に、話題を元に戻す。


「俺は行く!夏祭りで屋台の焼きそば食べたいし、射的やるし」


指を折ってやりたいことを挙げていく真冬。小学生かお前は。


キラキラした目と高校生にしては小柄な容姿も相まって、本気で小学生に思えてくる。何だこの親になったような気分は。


「あと俺……、吉原気になってんだよね」


「吉原?あいつのこと好きなのお前」