狂おしいほどの想いに、理性なんて通用しないのだ。


涙をぐいっと手でぬぐい、目の前の彼に向かい合う。


涙で濡れたからか、一層綺麗で澄んだ伊織君の瞳。伊織君の頬に涙の跡を作るそれをほんの少し指先で触れて、掬ってやった。


「ねえ、伊織君」


「なあに」


「キスして」




世界をシャットアウトするように、2人で瞳を閉じた。





マーガレットの花言は葉純愛、または誠愛。




誰もいない教室の窓際で、夕日が沈みきる瞬間マーガレットの最後の花びらが夏の終わりに散ってしまったことを、私達はまだ知らない。