「森野さんのこと考えてたら、なんとなく書いてみようかなって」


「……じゃあ、私も」


伊織君からチョークを受け取り、隣に書いてく。


「よし、書けた」


「ふ、お互いの名前書いて何やってんだろ俺達」


「それは言っちゃダメ。でも、たまにはいいんじゃないかな」


前は伊織君の名前をこっそり書いて、すぐ消すしかなかった。でも今は違う。


お互い自然と目が合って、どちらからともなく笑顔になる。


こういう穏やかな時間が、ずっと続けばいい。




チョークの粉がふわりと舞い、夕焼けの光を受けてキラリと輝いていた。