貰ったチョコは食べるのがもったいなくて、鞄に仕舞ってある。


「っあの日。伊織君との関係は終わったんだと思った。だから伊織君への気持ちを消そうとして……でも諦めきれなくて」


気持ちを消そうとしても、全然、これっぽっちも、うまくできなかった。


黒板に書いた文字みたいに、簡単に消し去ることは出来なかったんだ。


「……森野さん」


「ただのクラスメイトに戻らないといけない。でも伊織君のちょっとした優しさに一喜一憂してる自分がいる」


単純だよね。


「必要以上に関わっちゃダメだって頭では分かってても、今だってこうして伊織君を追いかけてきちゃって」


本当、どうしようもない。


このあふれる想いを止める方法を知ってるのなら、誰か教えて欲しい。


「も、りのさん。それ以上言ったら」


伊織君も、色んな感情でいっぱいなんだろう。


お互い言いたいこと、言わなきゃいけないことはたくさんあるのに、ちっとも上手く伝えられない。