「あ、わ!」
思いっきり腕を伸ばして、結衣が背中から床に落ちる寸でのところで何とか後ろから抱きかかえた。
周りも事態に気づいて静まり返る。
ドッ、ドッ、ドッ、飛び出そうなくらい心臓が跳ねる。
「……か、香里?」
「うん。結衣、取り敢えず机に座れる?この体勢どうにかしよ」
「そ、そうだよね」
「ゆっくりね」
変な体勢からゆっくり体を戻して、机に座らせる。
「2人共何やってんの!?ケガは?ぶつけてないか?」
米原君が駆け寄ってきて、普段は見せない慌てっぷりで私と結衣を交互に見る。
「香里が支えてくれたから大丈夫。私、暗幕留めるのに夢中で足元よく見てなくて……」
しゅん、と気落ちした顔で『ごめんなさい』と謝る。
「結衣がなんともないならそれでいいよ。これからはちゃんと足元に気をつけよ」
「ありがとう香里。米原も心配かけてごめん」



