告白を断ったあとどういう距離感でいればいいのかよく分からなくて、お互いぎこちない空気だった。


でも、最近『俺、やっぱり諦めるつもりないから』と言われた。


そのときの裕貴はスッキリした表情をしていて。ああ、前に進めてるんだなって思った。


それからは私も変に意識しないようにしたら、今みたいに話せるようになって。


教室に戻ると今度は『ねぇ茶色の絵具持ってる人?』『赤もないよ!鳥居完成できない』『白は?』とあちこちで絵具が足りない、の声が飛び交う。


「なら近くの画材屋で絵具買ってきてよ。予算ならまだ余裕あるから。誰かー!買い出し行ってくれる人!」


美佳ちゃんが現金の入った封筒を見せる。


「私でよければ行こうか?」


ちょうど自分の作業は一段落してるけど、他の皆は切り上げられないっぽいし。


行くなら私がいいよね。


「ほんとに?助かる。小さいサイズの絵具じゃなくて缶があればそれを買ってほしい。領収書も忘れずにお願いね」


「分かった。何かあったら連絡する」


「うーん香里1人だと荷物重いよね?男子連れてけば」


「いやいや大丈夫だよ」