裕貴先輩は立ち上がって、ぐいーっと伸びをする。その表情はすっきりしていて。


「千尋が相談のってくれたら、気持ち軽くなった。ありがと」


この調子だともう大丈夫そうだ。


これからの練習で前みたいな綺麗なスリーポイントシュートを何本も決めてくれるだろう。


「それはよかったです。私も、頑張りますから!」


先輩の背中を押してしまった。だからこれからもっと私の恋も大変になるかもしれない。後悔はしてないけど、頑張らなくては。


「お、おお?よく分かんねぇけど頑張れ」


ふわっと笑って頭を撫でてから体育館へ戻っていく。先輩の取り繕ってない笑顔、久し振りにみた。


しかも、か、格好いい。


何なんですか、あれ。壊れるんじゃないかってくらいドキドキしてた心臓が落ち着いてから、ふーっと肩の力を抜く。


「必ず振り向かせてみせますからね!」


改めて決意して、顔を上げる。


空を見上げれば鮮烈な青がどこまでも広がっていて。雲1つない、すっきりした青空。


裕貴先輩、覚悟しててくださいね。