「うん!ゆっくりね」


どうやら他のクラスの子を手伝っているようだった。


小道具がめいいっぱい詰め込まれた段ボールは、確かに女の子だと重い。


それを手伝ったあと、またすぐに別の男子から声をかけられて助けてあげてる。


自分に割り振られた仕事をきっちりこなして、さらに他担当や他のクラスの子の手伝いも合間にやってるって、伊織君らしいというか。


「永瀬、さんきゅーな!助かったわ」


「あれくらいいいよ」


「優しいよね伊織。うちのクラスの男子にも見習ってもらいたい」


気づけば伊織君の周りには自然と人が集まっていて、皆笑顔だ。


それを私は遠くから見ているだけ。でも、今までだってそうだった。


2人のとき、以外は。


「戻ろう」


指定の場所に装飾物を丁寧に置いてから教室のなかに入る。


「あ、香里。今皆休憩してる!」


「そうみたいだね」


結衣の言う通りどの担当も一旦休憩してるみたいだった。


じゃあ私も休憩しよう、と鞄から水筒を取ってお茶を飲む。