美術が得意かどうかとか諸々判断して決めた結果、このメンバーでメインではなくサブの装飾物を作ることに。


皆協調性があって、和気あいあいとやれそうだなとは思う。思いますけどね。一つの問題を除けば。


「俺ら3人でひたすら草の形に段ボール切ってくから、香里と結衣は色塗ってくれ」


「はーい。私達は絵具用意しよっか」


「うん。取り敢えず緑と黄緑があればいいよね」


結衣と一緒に道具を用意するために一旦教室から離れる。


この時期LHRはどのクラスも文化祭の準備にあてていて、笑い声や楽しそうな話し声が廊下に響く。


「懐かしいよね、絵具セット。使うの中学生以来だ」


結衣が昔使っていた絵具セットと専用のバケツを掲げてみせる。


「私も。高校じゃ美術の授業選択しないと絵具って使わないよね」


平常心、平常心と自分に言い聞かせていつもと変わりない態度で喋る。


伊織君と班が一緒で動揺してるとは絶対分からないしバレないだろうけど、楽しい準備の時間に水を差すようなマネはしちゃだめだ。


一通り道具を揃えて、教室の自分達に割り当てられたスペースに戻る。


3人ともちゃんと進めてくれていて、既にいくつかのパーツが出来上がっている。


「すごーい!もう草の形が出来上がってる」