「でも亜紀がっ、ボロボロで……後遺症が残るかもしれないって言ってて」
「大丈夫、治る。そしたらまた3人で集まって遊ぼう」
根拠のない大丈夫。でも言わずにはいられなかった。そうでもしないと伊織が、壊れてしまいそうで。
伊織が落ち着いて眠るまで、ずっと抱きしめ続けた。
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数日も経てば亜紀が事故にあったと学校に広まり、伊織に対して無遠慮な視線がいくつも突き刺さった。
『お姉さんどうしたの?』『伊織君元気出して』と考えなしな言葉をぶつけられても、伊織はただ笑って大したことじゃないよと答える。
本当は煩い黙れと怒鳴りたいはずなのに、それをしない強さを伊織は持ってる。
亜紀の状態は落ち着いてきて、調子がいい日は話せるみたいだけどやはり後遺症は残ってしまったと伊織が言っていた。
亜紀のことで伊織は部活を辞めて、その代わりに毎日亜紀がいる病院へ足を運んでいる。
伊織の両親は共働きで忙しいから、亜紀の様子を見に行けるのは伊織しかいなくて。



