君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】




「でも、類にはもう見られたわよ?」


亜紀、ここで俺を話題に出さないでくれ。


「る、類はギリギリセーフだから」


「セーフなのか」


それは小さい頃からずっと一緒にいるからだろう。


「そんなに伊織が気にしなくても、誰も見てないわよ」


「本気で言ってる?よくない」


伊織は少し怒り気味な様子。大切な家族のあられもない姿を赤の他人に見られたくないって気持ちは分かる。


でも、どこか、違和感を覚えた。


2人は周りの兄弟より距離が近くて仲がいいのは知ってるし、2人にとったら普通の感覚なのかもしれない。


そういえば、いつのまにか伊織は亜紀を「姉ちゃん」じゃなくて「亜紀」と名前で呼ぶようになってる。


姉弟の関係というよりは、むしろ……。いや、そんなはずないよな。


俺が1人で思考を巡らせてる間にどうやら2人は仲直りしたみたいで、てるてる坊主がどうだとか他愛ない会話を交わしてる。


「もうちょっとしたら雨やみそうね」


「それまでここで待とう」