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「類―、帰ろうぜ」
「うん」
先に教室を出る伊織の後を追い、下駄箱で靴に履き替える。
「なあ類、今日国語の授業で作文の宿題出されたけど、何書く?」
「お題は自由って言われるのが一番思いつかない……」
「俺は家族で遊園地に行ったことか、テストで100点とったって書こうかな」
「伊織は書くことたくさんあるんだな」
「あと、最近絵が上手くなるために頑張ってるって話もあるんだ」
「…………ああ」
確かに伊織の絵はなんていうか……、個性的っていうか、下手っていうか。うん、下手。
「何で姉ちゃんは絵が上手いのに俺は下手って言われるのかなぁ」
「絵の上手い下手は遺伝じゃないから」
でも伊織は亜紀の才能を少し分けてもらった方がよかったかもしれないね。
伊織と他の授業についても話していると、後ろから柔らかい声に呼び止められた。
「伊織、類。お帰りなさい」
その声に振り向けば、亜紀がふわりと微笑んで隣に並んだ。



