『姉ちゃんは俺が守る』それが伊織の口癖だ。


そういう伊織も亜紀に似てたまに危なっかしいときあるけどね、とは言わないでおこう。


亜紀を伊織が守るなら、その伊織は俺が守るって密かに決意してることは2人には内緒だ。


「伊織は強いわね。それじゃあ困ったときは伊織に助けてもらうことにするわ」


「うん。まかせろ!」


「ありがとう」


亜紀が優しく目を細めて伊織の頭を撫でた。


――――それから仮入部を終えて本格的に亜紀が部活に参加するようになると。


言っていた通り部活や勉強で忙しくて、平日に3人で集まることは少なくなった。


始めのうちは伊織はそのことに不満をこぼしていたけど、そもそも家族なんだから家に帰れば一緒に過ごせるわけで。


亜紀は中学、俺と伊織は小学校での生活っていうのに慣れてきたみたいだった。


その亜紀と遊ばなくなった分は、2人で遊ぶか他の友達も交えて遊ぶようになった。


俺とは違って、もともと伊織は社交的な性格。


前から友達に遊ぼうって誘われてたけど亜紀を優先して断ってただけで、その断る理由がなくなれば遊ぶに決まってる。