「なんで君はそんなに死にたいの?」


…これは彼女が僕に向けて放り投げた一番最初の言葉。





1ヶ月前中学校を卒業して、今月から第一志望だった高校に入学した。





先月までとは違って毎朝ぎゅうぎゅうの満員電車にのって通学する日々にほんの少し慣れてきて。







自分の新しい環境への適応能力のなさを痛感した入学式の日から早2週間。








(きっと僕の適応能力は毎日の通学電車で身体と一緒に押しつぶされたんだ)







なんてくだらないことを考えてたある日。







「なんで君はそんなに死にたいの?」






彼女は何の前触れもなく僕にその言葉を投げつけた。しかも満員電車で、だ。




…周りからの視線が痛い。






たまたま満員電車で横に並んだ同じクラスの彼女、音沢 えめ は悪びれなく僕を見上げる。



「は…え…あの…」




うろたえる僕を救うように電車が僕の降りる駅につき人ごみにながされてホームについた時には彼女の姿を見失っていた。





(なんなんだ…今まで話したこともないのに…)









話したことがないのは彼女だけに限らないけれども。