「なぁ‥なんで先生にチクらんかったん?」
帰り道、夕日に照らされながら、私と武山はふたりで帰っていた。
「だって、ゆったら武山が怒られるやん。」
「‥そっか。ありがとう。」
そのうち、クラスで“武山は桜庭の事が好き”っていう噂がたちはじめた。
私の親友が言うには、武山はずっと私の事が好きやったらしい。
「絶対そんな事ないって!!
ふつうの友達やもん。」
「でも、武山は美輝の事、好きやねんって。」
私と武山は2年生の時に同じクラスになって、それからずっとこんな感じ。
いつも、どっちかがちょっかいかけて、追いかけ合いになる。
元気な小学生やった。

