それからしばらく他愛ない話を楽しんでいたことを覚えてる。あの時は母の死のことなど忘れて、心から笑えていた。
『どうだい?少し元気になったかい?』
「はい、楽しいですよ。」
私が質問に答えると、安心したようにして立ち上がって、座っていた椅子をしまった。
最後に警官の人が出て行こうとしたときに、聞いたことを覚えている。
「眠っている私のお母さんは笑っていましたか?」
『ああ、笑っていたよ。見に行くかい?』
私の質問の意図が分かったのか、警官の人が悲しそうにして、遺体を見に行くかを聞いてくれた。
「見たらまた辛くなってしまうので、大丈夫です。ありがとうございました。」
そう告げると帽子をとってお辞儀をした。そして何も言わずに病室を出て行った。
警官の人が出て行った病室に向かって私は一言つぶやいた、
「元気ならそれでいいよ。
ありがとう、そしてさよなら。
私のお父さん。」
ー出逢いの先には別れがある
ー別れの先には出逢いがある



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.797/img/book/genre1.png)