教室に戻ってきて、大きい声でなるべく遠くまで届くように、
「不破さーん!不破 椿さーん!」
教室の注目を浴びながら、二つの背中の間から背伸びをして顔を出した、不破さん。その背中の正体は、花巻と智也だった。
先越された… そう思うと私はショックだった。
なんでもないと首を横に振って、私は教室を去った。
不破椿、この人は果たしてカンニングをしたのだろうか。本人が本当のことを言わない限り、カンニングの真実なんて永久に封印されてしまう。
「どうするかなぁ…」
私は窓際に腰をかけて頭を抱えていた。
案をしばらく考えた結果、期末のときにとなりに座っていた人に、なにか不審に思ったことなどを、聞いてみることにした。
「長澤 杏奈さん!
ちょっといいですか?」
一度注目を浴びた教室に、もう一度戻って二度目の呼び出しをかけた。
ー長澤 杏奈(Nagasawa Anna)
あまりクラスの中では目立たない部類に入る、長澤さん。メガネをかけていて地味。
不破さんの隣の長澤さんのことを私が呼び出すと、少し迷惑そうにしながらメガネを上へと上げて嫌々、こちらに歩いてきた。



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.800/img/book/genre1.png)