『おお!あれ、神崎じゃね?』
『うそ、マジで?
わ!本物だ!』
誰かのその会話が私の耳に入って、その瞬間廊下の方に目を向けた。
ドアの前に俯きながら立っていたのは正真正銘、神崎 乃愛だった。
よかった… 私たちの気持ちが… 私たちの努力が神崎さんに届いたんだ… 私たちが努力した甲斐があったよ…
神崎さんはしばらく、教室の中をキョロキョロと見回して、私と目があうとニコッと笑って、口を動かした。
神崎さんは、声に出していなかった。
けれど私には彼女がなにを言おうとしているのかが、分かったよ。
私はニコッと笑って、黙って手を叩いた。クラスのみんなも私に続いて、手を叩き始めた。
教室の中は拍手喝采となった。
『みんな!ありがとう。そして、ごめんなさい。』
誰一人、神崎さんを責める人はいなくて、むしろみんな慰めたりする言葉が多かった。
特に、神崎さんと仲の良かった女子たちは話す話題がこれでもかと言うほど、絶えなかった。
この限りある時間をみんなは、楽しんでいるようでもあった。



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.808/img/book/genre1.png)