そう言って、ニコッと笑ったのが少しムカついたけど、確かに自分でも聖奈ならいいかなと思って、諸星になにも言うことはできなかった。

私の怒りに近いものも治まってきたところで、教室に入った。すぐさま聖奈の隣にいって、昨日のことでは無く、普段通りの他愛ない話をして楽しんでいた。

『ねえ!』

私の右肩と聖奈の左肩が同時に叩かれて、驚いて後ろを見るとまた諸星が立っていた。私が、ため息混じりに

「はぁ… 今度はなに?」

そう聞くと、諸星は窓際の一番後ろの席を指さして

『なんであの席空いてるの?僕たちがこの学校に来てからも一回も来てないし… ねえ誰?なにかあったの?』

この人はなんかすごく人を観察する能力が、高い気がする。

私は話し始めた。

「あの席は不登校生徒の
ー神崎 乃愛(Kanzaki Noa)
一年生のときはすごく頭が良くて、みんなからも頼りにされる存在だった。それが二年生に進級するといきなり姿を現さなくなった。まあこんな感じ?」

一通り話し終わると、諸星は耳元で

『りょーかい。次の任務はソレね?』

と言って去って行った。うわー… 天才は手強いぞ… 私は不安な気持ちを隠しきれずにいた。