私のその想いも掻き消すかのように、今度は花巻は諸星にバトンタッチした。諸星は胸ポケットから写真を出し差し出す。
『ー桐山 刀雅(Kiriyama Touga)
この人が本庄真子さんの元カレですね。更に調べたところ、この人もなんと将来陸上選手の夢を持っていました。学年二番手の俊足。昨年のリレーでも林崎カイに大差をつけられながらも二位。これだけだったら良かったのでしょう。でも本庄さんは聞いてしまった。』
ここで諸星が止めて、林崎くんの方をみた。林崎くんはそれをみて頷き口を開いた。
『おそらく本庄は、俺が刀雅の靴に細工したって言ったことを聞いていたんだな。でもそれはな、違うんだよ。あいつはあの日、具合が悪かったと俺に言ってきた。
確かに顔色も悪かったし、保健室にも行っていた。本当なら俺と刀雅は僅差で1位、2位を争うはずだった。でも何の言い訳もしなかった。それは刀雅の陸上に対するプライドだったんだろうな。走って俺と大差の2位だった。
あまりにもあいつが気の毒だった。だから思い付いた。俺が悪役になれば、そうすれば刀雅が本気を出せば余裕だった。そう周りに思わせてやりたかった。』
靴に細工した嘘の情報を偶然聞いてしまったのが、本庄さんだったのか… そんなの気の毒すぎるよ…



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.807/img/book/genre1.png)